2011年7月14日木曜日

総選挙の争点は「脱原発」になった

● TBSニュース


いよいよ総選挙に向けて動き出した。
争点は「脱原発」あるいは「卒原発


毎日新聞 2011年7月14日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110714ddm001010050000c.html

菅首相:「脱原発」を明言 
「将来、なくてもいい社会を実現」

菅直人首相は13日、首相官邸で記者会見し、今後のエネルギー政策に関し
原発に依存しない社会を目指すべきだと考えるに至った」
と述べ、脱原発依存を進める考えを示した。
その上で
「計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」
とし、将来的には原発を全廃する「脱原発」の姿勢を鮮明にした。
ただ、今後のスケジュールや政府内での議論の進め方など具体論についての言及はなかった。

首相は、3月11日の福島第1原発事故発生前は原発活用の立場だったとした上で
「最終的な廃炉に長い期間を要するリスクの大きさを考え、これまでの
安全確保という考え方だけでは律することができない技術
 だと痛感した」
と政策転換の理由を説明した。

停止中の原発の再稼働については、原子力安全委員会が関与するとした政府の統一見解に沿って、首相、枝野幸男官房長官、細野豪志原発事故担当相、海江田万里経済産業相の4人で判断すると説明した。
「専門的な立場の皆さんの提起があり、それが大丈夫となれば4人で合意して稼働を認めることは十分あり得る」
と述べた。

当面の電力需給に関しては
「必要な電力を供給することは政府の責務」と強調。
今夏と年末については「必要な電力供給は可能との報告が耳に入っており、そう遠くない時期に計画を示す」
とした。
来年以降は
「天然ガス活用なども含めて計画を立てていきたい」
と述べるにとどめた。

与野党内で臆測が出ている
「脱原発解散」については「この問題で解散するとかしないとか、一切考えていない」
とした。

退陣時期では「(退陣表明した)6月2日の(民主党)代議士会、記者会見で真意を申し上げているので、それを参考にしていただきたい」と語った。【田中成之】

◇退陣控え実行力に疑問

菅直人首相は13日の記者会見で「将来は原発がない社会を実現する」と表明し、日本のエネルギー政策のかじを「脱原発」へと切る意欲を示した。
退陣を表明している首相が国策の大転換を打ち出すのが異例なら、政府・与党内で議論や手続きを経ていない「個人的見解」を首相が発表するのも異例。
原発を減らす具体的な手順や電力供給の見通しも示さず、「レームダック(死に体)政権」の実行力には疑問符がつく。

「原子力政策の見直しを提起するのは、その時代の首相としての責務ではないか」。
首相は東京電力福島第1原発事故が起きた時に首相だった「運命」を強調した。

しかし、中部電力浜岡原発の停止要請や、九州電力玄海原発の再稼働延期が法的な根拠のない唐突な指示だったように、今回の首相発言も場当たり的だ。
政策内容や方向性が正しくても、民主的な手続きを踏まない「独断」は「言いっ放し」に終わりかねず、与野党からは「パフォーマンス」との批判が出ている。




NHKニュース 2011年7月14日 5時21分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110714/t10014193081000.html



“脱原発依存”実現は不透明

菅総理大臣は、13日、国のエネルギー政策を抜本的に見直して、段階的に原発を廃止し、将来的には原発に依存しない社会の実現を目指す考えを表明しました。
これを受けて政府は、国のエネルギー基本計画の見直しなどに着手することにしていますが、経済界を中心に異論もあり、具体的にどの程度の見直しが行われるのかは不透明です。

菅総理大臣は、13日記者会見し、今後の原子力政策やエネルギー政策について、
「計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は、原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していくことが、これからわが国が目指すべき方向だ」
と述べ、国のエネルギー政策を抜本的に見直して、段階的に原発を廃止し、将来的には原発に依存しない社会の実現を目指す考えを表明しました。

これについて、与党だけでなく野党の一部からも、
「原発の依存度を減らし、再生エネルギーを増やすという方向性は賛同できる」
として評価する意見が出ています。
政府は近く、関係閣僚で作る「エネルギー・環境会議」で、原発への依存度を減らすための検討課題をまとめることにしており、原発の増設を前提としたエネル ギー基本計画の見直しも含め、新たな政策を立案したいとしているほか、地球温暖化対策についても、今後の国際交渉に向けた戦略の練り直しを求められそうで す。
ただ、具体的なスケジュールや手続きなどが示されなかったことから、佐賀県の古川知事が、
「運転再開させながら長期的には減らしていこうということなのか、短期的にもできる限り再開させたくないということなのか、考えがよく分からない」と述べるなど、原発立地自治体などからは、十分な説明や議論を求める意見が出ています。
また、与謝野経済財政担当大臣が、「脱原発」が日本経済に与える影響を十分に考慮すべきだという認識を示しているほか、経団連も、電力の安定供給のためには原発の果たす役割は引き続き重要だして、こうした考えに慎重な姿勢を示しています。
さらに、野党からは、
「退陣を表明した総理大臣が国の重要政策に言及すべきではない」
という批判も出ていて、具体的にどの程度の見直しが行われるのかは不透明です。




ウオールストリートジャーナル  * 2011年 7月 14日  6:50 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_272774

菅首相、「脱原発依存」への政策転換を表明

【東京】菅直人首相は13日、今後のエネルギー政策について、これまで国策としてきた原子力発電には過大なリスクが伴うとし、「脱原発依存」への方針転換を打ち出した。

現行のエネルギー計画では、発電量全体に占める原発の割合を現在の30%程度から将来的に50%以上に引き上げることを目標としている。
3月11日の東日本大震災による福島第1原発事故を受けて、菅首相の発言はこれまで、原発の割合を引き下げる意向を示す一方で再生可能エネルギーの推進と電力使用量削減の必要性を強調するものにとどまっていた。
それが今回大きく変わった。

菅首相は記者会見で、「原発に依存しない社会を目指すべき」との考えを表明し、「将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と述べた。

「脱原発」の時期的なメドは明言しなかった。
復興基本法案成立後の退陣を表明した首相がエネルギー政策の大転換に手を付けることについては疑問の声も多く、政財界からの反発を招く可能性は高い。
菅首相は先週、全ての原発に対してストレステスト(耐性評価)」を実施する意向を突然表明し、現在運転が中止されている原発の再稼働を認める判断を留保したことで、すでに猛非難を浴びている。

与謝野馨経済財政担当相は同日、脱原発の議論について、エネルギー政策全体の整合性を考える必要があり、福島原発事故の影響が収まってから将来の政策選択をすべきとの見解を明らかにした。
与謝野氏は、
「脱原発は簡単に言えるが、代わりに化石燃料を使うと、法人税3割増税と同じコストアップが発生する」
と述べた。

菅首相も同様に、原発依存を縮小すれば火力発電による発電量を増やして一部穴埋めをする必要があるため、短期的には化石燃料の消費量増加につながるとの見通しを示した。
政府は2020年までに二酸化炭素排出量を1990年の水準の75%まで減少させる目標を掲げており、これには原発による発電量の引き上げが前提となっていたため、エネルギー政策の転換はこの目標達成にも疑問を投げかけることになる。

資源の乏しい日本にとって脱原発への転換は化石燃料の輸入依存が高まることを意味しており、資源価格変動の影響をさらに受けることになる。
また、原油、石炭、天然ガスなど世界中の資源供給の確保に巨額の投資を開始している中国、インド、韓国などアジア諸国との競争激化にもつながる可能性もある。

菅首相の記者会見に先立って発表された月例経済報告では、電力の供給制約が脆弱な経済の足かせになる可能性が指摘された。
日本経団連は、電力不安が長引けば生産拠点の海外移転が進むと警告している。

国民投票や政府の様々な議論を経て脱原発への方針転換を決めたイタリアとドイツと異なり、菅首相の政策転換は突然だった。
国民の強い批判を浴びるだけでなく与党内の反発も必至である。
毎日新聞が7月4日に公表した世論調査では、37%が定期検査のため停止している原発の運転再開に賛成と答えた。

菅首相は脱原発を争点にした衆院解散・総選挙を行う可能性については否定したが、国民はエネルギー政策を選択する権利があると述べた。
また、定期検査のために停止している原発の運転再開はあり得るとしながらも、節電の取り組みが継続すれば現行の電力供給で今夏と冬は乗り切れるとの認識を示した。

東日本大震災による発電所の稼働停止の影響で、東京などの地域は最大電力使用量を15%削減するよう求められている。
政府はまた、電力系統の異なる西日本にも電力使用制限の拡大が必要かを検討する予定である。

菅首相は福島第1原発事故の発生直後に、2030年までに発電量の半分以上を原発で占める目標は見直されるべきと語っており、エネルギー政策転換の意向を示唆していた。

原発について、菅首相は、
これまでの安全確保という考え方だけでは律することができない技術だと痛感した
と述べた。

記者: Toko Sekiguchi and George Nishiyama 




京都新聞 2011年07月14日掲載
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/index.html

脱原発依存  新しい政策の流れ作れ

原発を減らす-。
う明言した首相は初めてではないか。
菅直人首相は記者会見で、脱原発依存を打ち出した。
風力や太陽光など再生可能エネルギーの普及を進めつつ、原発を計画的、段階的に減らし「将来はなくてもやっていける社会」をめざすとした。

戦後長く続いてきたエネルギー政策を180度方向転換させるに等しい大胆な宣言だ。
福島第1原発事故が原発の巨大なリスクを見せつけた今、新しいエネルギー政策の方向を評価したい。
原発は、いったん事故を起こせば深刻な放射能汚染と途方もない損害を引き起こす。
しかし3月11日まで、多くの国民も政治家も、その危険性を真剣に受け止めてこなかったのではないか。
高濃度の放射性物質が広範囲に拡散し、10万人近い住民が避難を余儀なくされている。
事故発生から4カ月たった今も、大勢の人々が放射能を心配しながら生活し、食品汚染も深刻だ。
旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)という先例があるとはいえ、誰もが「まさか日本で」と思ったはずだ。

菅首相は、その衝撃こそが「脱原発依存」を決意する契機だったという。
長い自民党政権下では、電力の安定供給を「錦の御旗」に、電源3法交付金をばらまいて原発立地が進められた。
原発はさまざまな利権の温床という批判もある。
政権交代を遂げた民主党も、昨年改訂したエネルギー基本計画に原発推進を盛り込み、2030年までに原発を14基以上増やすとしている。
こうした原発偏重のエネルギー政策と決別すべきだという菅首相の認識は間違っていない。

ただ、それを実現するプロセスが難題だ。国民や経済界は電力供給に不安も感じている。
いつまでにどれだけの原発を止め、その穴埋めをどうするのか。
定期検査で停止中の原発の再稼働はどうするのか。
どれほどの節電や省エネが必要なのか。
具体的な数値目標や方策、電力需給の見通しを分かりやすく示すことで、新しいエネルギー政策がより説得力を持つだろう。
これは大仕事である。根回しや手順を無視した独断専行が目立つ菅首相だが、それで突破できるような課題ではない。
党内議論をまとめ、世論の支持を得ることが必要だ。
弱体の菅政権には荷が重いかもしれない。
せっかくの「脱原発依存」宣言を政権の「延命策」と受け取る向きもあろう。
首相が会見で述べたように一貫した信念があるのなら、その実現に向けて全力を振り絞るべきだ。
新政策の土台を築き、次期政権へ引き継いでもらいたい。




asahi.com 2011年7月14日
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201107140092.html


橋下知事「首相でしかできない」 「脱原発」発言評価

菅直人首相が「脱原発」社会を目指すと表明したことについて、関西の各知事からは14日、発言を評価しつつ、実現への具体策を示すよう求める声が出た。

大阪府の橋下徹知事は、報道陣に
「大号令をかけることこそ政治家の仕事。
(脱原発は)首相でしかできない大仕事だ」
と支持を表明。
そのうえで「行政組織をフルに稼働し具体像を描いてほしい」と語った。

卒原発」を掲げる滋賀県の嘉田由紀子知事は
「首相の発言に共感する。
今後、政府としてエネルギー基本計画を見直し、自治体にとっても行動計画の指針になるようなものを具体的に示していただきたい」
などとする談話を出した。


反「脱原発」の声が大きくなればなるほど、解散がやりやすくなる
原発の是非の民意を問う」という大義名分ができるからだ。
おそらく菅首相はそこを狙っているのだろう。

いよいよ解散総選挙が身近に迫ってきた。
ひじょうに分かりやすい選挙争点
も浮上してきた。

目先の経済的な欲で動くことのない明日の日本
を作っていくに必要な人材が集まってほしいものである。




総選挙ともなれば、橋下さんは 
大阪府知事をやめて「日本縦断維新の会」を結成
し、10人余の衆議院議員を引きつれて東京に乗り込んでくるだろう。

「脱原発」は巨大なうねりとなって日本中に広がっていく可能性を秘めている。
それが、新しい政治を導いていくことになるかもしれない。


2011/07/15 11:35   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011071501000326.html

福島県「脱原発」を宣言 被害拡大、共存を転換

東日本大震災で被災し、東京電力福島第1原発事故による甚大な被害が続いている福島県は15日、東日本大震災復旧・復興本部会議を開き「脱原発」を基本理念に掲げた「復興ビジョン」を取りまとめた。
1971年の第1原発1号機の営業運転以来、第2原発を含め10基と共存してきた福島県が正式に原発との決別を宣言した。

菅直人首相も「脱原発」を表明してエネルギー政策の転換を主張。
福島の復興ビジョンは国の原子力政策や原発関連施設を抱える他の自治体にも影響を与えそうだ。

資源エネルギー庁の立地担当者は
「原発立地の自治体が脱原発を掲げたのは聞いたことがない」
と話した。




時事.com 2011/07/14-20:42
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011071400906

民主、支持率下落に危機・虚脱感
=野党、即時退陣を重ねて要求-時事世論調査

菅内閣の支持率が2009年9月の政権交代以降最低の12・5%にまで落ち込んだことで、民主党内では党の先行きへの危機感や菅直人首相を退陣させる手だてが見当たらないことによる虚脱感が広がった。

一方、野党側は、首相の即時退陣を改めて求めた。
民主党の岡田克也幹事長は14日の記者会見で
「しっかりと与党議員としての責任を果たすことが求められている」
と述べ、特例公債法案の成立など首相が挙げる「退陣3条件」の達成に引き続き全力で取り組む考えを示した。
もっとも、6月2日に退陣表明しながら居座り続け、新たな政策課題を打ち出す首相だけに、仮に3条件が達成されても辞任する保証はない。
党幹部は「議員一人一人が受け止めないと信頼回復はできない」と危機感をあらわにし、若手議員の一人は「首相は支持率に関係なく続投する気だ。
森内閣での最低記録(9・6%)を抜けるよう頑張ってほしい」と、皮肉交じりに語った。
渡部恒三最高顧問は記者団に
「党の国会議員も、一人か二人を除けば、『一日も早く辞めてほしい』と思っている」
と指摘した。

これに対し、自民党の谷垣禎一総裁は14日の記者会見で
「国民からレッドカードを突き付けられている状況。大胆な政策展開は不可能だ」
と、首相の続投を認めない立場を強調した。
その一方、党内では、特例公債法案の成立に抵抗し、不人気の
菅首相を衆院解散に追い込む戦略
もささやかれ始めている。
別の党幹部は「菅首相に解散してもらうのがベストだ」と述べた。

公明党の山口那津男代表は取材に「一刻も早い退陣」を迫りつつも、「被災者のため、政府・与党と協議していく」と、必要な協力には応じる姿勢を示した。
共産党の志位和夫委員長は
「(国民は)この内閣では国難への対応能力がないと判定している」
とし、みんなの党の渡辺喜美代表は
「国会が首相の首を切れないなら、解散・総選挙で国民に首切りをしてもらうしかない」
解散を求めた。




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