2011年7月21日木曜日

なぜ、野党は「脱原発」議論を嫌がっているのか


● ニュータイプ:横粂勝仁




時事.com 2011/07/19-21:04
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011071900835

脱原発依存、議論深まらず=首相強弁、
野党突っ込み不足-衆院予算委

菅直人首相は19日、「脱原発依存」を記者会見で表明後、初の委員会質疑に臨み、過去のエネルギー問題をめぐる発言とは「矛盾しない」と強弁した。
野党側は、首相の説明に具体性がないことを追及したが、「脱原発」の方向に真っ向から反論することはできず、突っ込み不足も目立った。

民主党の近藤洋介氏は、首相が5月の仏ドービル・サミット(主要国首脳会議)で、原子力エネルギーを「四つの柱」と位置付けていたことを指摘し、「記者会見とはニュアンスが異なる」とただした。
首相は当時も、原発依存度を下げることを念頭に自然エネルギーなどを重視する考えだったことを強調し、
「国際会議で言ったことと、先日の記者会見で言ったことは方向性としては矛盾していない」
と力説した。
自民党の小池百合子総務会長は
「エネルギー問題は国家の中枢のテーマだ。
地に足の着いた議論を重ねないと国の方向性を誤る」
と首相の唐突な会見をとがめた。
これに対し、首相は
「手続きだけを言っているようだが、(脱原発の)中身が悪いのか議論をいただきたい」
と反論。
小池氏はこれに答えず、他の質問に移った。

公明党の江田康幸氏は
「脱原発方針は一国の首相として無責任」
批判したものの、答弁は求めず、脱原発をめぐる議論は深まらなかった。

一方、政府は既に東北、東京両電力管内に電力使用制限を発令し、19日には、関西電力大飯原発1号機(福井県おおい町)などの停止を受け、西日本を対象に節電を要請する方針を発表。
これを受け質疑では、与野党から夏の逼迫(ひっぱく)する電力需給に懸念が相次いだが、首相は需給見通しや電力確保策に言及しなかった。

代わりに海江田万里経済産業相が
「今年の夏は大変厳しい状況にある」
と答弁。
首相が関心を示す企業の自家発電など「埋蔵電力」については、
「発電能力と実際に供給できる能力にはかなり乖離(かいり)がある」
と電力供給能力に冷ややかな見解を示していた。


どうも、野党は「脱原発論議」をひどく嫌がっているようだ。
ということは、原発論議を沸騰させ、菅首相を追い込んでいくことにためらいを感じているように思える。
なぜだろう
答えは一つしかない。


時事.com 2011/07/21-17:58
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011072100411&j4

菅首相「脱原発、在任中に方向性」
=月内に論点整理-参院予算委

菅直人首相は21日午後の参院予算委員会で、先に打ち出した「脱原発依存」に関し、
「原子力事故を首相の立場で体験し、どれだけリスクが大きいかを極めて強く感じた。
任にある間に、これからの原子力政策の方向性を打ち出していくことが私の責任だ」
と述べ、原発に依存しない社会の実現に向けた道筋を在任中に示したいとの意欲を表明した。

これに関し、玄葉光一郎国家戦略担当相は
「原子力の依存度を徐々に下げていくことは現実的だ。
短期、中期、長期の工程表を作り上げたいと考えており、7月下旬には中長期の『論点整理』を示したい」
と述べた。
首相はまた、午前の質疑で示唆した原発輸出の見直しに関連、既に受注が決まったベトナムや、交渉中のトルコへの対応について
「信頼関係を損なわないような対応の在り方も含め、きちんと議論したい」
と述べ、継続するかどうか明言を避けた。

衆院解散・総選挙については
「私の頭の中に全くない。今、一切考えていない」
と述べ、
現時点で「脱原発」を争点に踏み切る考えのないことを強調した。
自民党の塚田一郎、民主党の水戸将史両氏への答弁。 


つまり、野党は「脱原発解散」、「脱原発総選挙」をやりたくないということだ。
脱原発を話題にしたくないのだ。
現在の状況では原発推進は圧倒的に不利になる。

逆に言うと、そこが付け目の菅首相、ということになる。
もし延命策をとる、あるいは政治史に業績を残したいなら解散総選挙をやらざるをえなくなる。
建前上は、「解散はしない」と言い続けて、ズバッと
「衆議院を解散する」
ともっていくのが菅首相の戦略だろう。
「脱原発を争点としての解散はしない」と意識的に強調するあたりがもっとも怪しい。
政治上にあって「強調する」というのはその反対給付があるということである。

いま、菅直人は民主党内でもっとも安定している。
もはや鳩山由紀夫も小沢一郎も手も足も出なくなっている。
マスコミはキャンキャン言っているが、すべて遠吠え。
代表にある間に解散をして、小沢チルドレンや反対若手30人グループの選挙区に刺客を送り込んで、「脱原発」で票をかっさらっていくといったところが筋書きだろう。
菅直人を甘くみてはいけない。
菅直人、岡田、枝野の三人でお芝居をやっている
ボケとツッコミを回しながら、ソツなくこなしている。
それをマスコミは中枢部の内部分裂という。
ちょっと間を置いてみればすぐに分かるだろうに。
菅直人、彼は生粋の政治屋政治家であり、これまでのオボッチャマ首相とはわけが違う。
幾多の修羅場、土壇場を切り抜けてきた剛の者であり、甘チャンな評論屋とはデキが違う。

そんな中でおもしろいのがこの人。


asahi.com     2011年7月21日19時39分
http://www.asahi.com/politics/update/0721/TKY201107210579.html

横粂氏、菅首相の選挙区から立候補を表明 次期衆院選

無所属の横粂勝仁衆院議員(比例南関東ブロック)は21日、国会内で記者会見し、次期衆院選で菅直人首相の地元の東京18区から無所属で立候補すると発表した。
「菅首相の信なき政治の暴走を止め、衆院議員としての適格性を問いたい」
と述べ、仮に首相を辞任したとしても選挙で戦う意向を示した。
全衆院議員に対し、今国会での内閣不信任決議案の再提出に向け、必要な50人の賛同者を募っているとも語った。

横粂氏は2009年衆院選で神奈川11区で自民党の小泉進次郎氏に敗れ、比例復活して初当選。
6月の内閣不信任案に賛成し、民主党を除籍(除名)された。


菅直人の選挙区に出馬するという。
一本筋が通っていて、なかなかいい。
言論チェックをやるなどという姑息な手段しか思い浮かばない二世の石原息子あたりとはデキが違うようだ。
これからは、自民党が没落していき、民主党と維新党系の二大政党化していくと思われるが、彼はニュータイプ、維新系のようである。
おそらく、明日の日本は彼のようなドラマチックな行動のできる人たちが担っていくことになるのだろう。


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